1906年に作られたバイオリンの音色は、年を追うごとに良くなる。手作りのバーボンも同様だ。
シカゴ北西部郊外のレイク・チューリッヒにあるコッパー・フィドルは、この町で唯一の職人技を駆使した蒸留所だ。2012年、ホセ・ヘルナンデスとフレッド・ロビンソン(それぞれ建築家とPGAゴルフのプロ)という意外なデュオが、過去のキャリアを捨て、蒸留酒という新しい才能に挑戦することを決意した。13ガロンのステンレススティルを使い、エルナンデスとロビンソンはさまざまなレシピを試しながら、自分たちが誇れるバーボンと2種類のジンを完成させた。
現在、コッパー・フィドルは2,500平方フィートの店頭に、バーボンウイスキー、ジン、その他のスピリッツを精選して並べている。その控えめなサイズと米国製という血統は、上質なスピリッツを製造するために必要な細部へのこだわりを反映している。蒸留後すぐに、スピリッツは15ガロンの焦がした中西部のオーク樽に入れられ、それぞれのボトルのコッパー・フィドル独特の風味に仕上げのニュアンスを加える。


コッパー・フィドル蒸留所では、毎週金曜と土曜の夜、熟成樽のすぐそばで、ツアーやテイスティング、さらにはライブ・ミュージックを開催している。ヘルナンデスもロビンソンも、職人としてのインスピレーションをバーにも生かすことを大切にしている。そのためか、マスター・バーテンダーたちは伝統的なカクテルを新たな高みへと昇華させる。たとえば、モスコミュールの材料に火をつけてから氷の上に注ぐ。伝統的なカクテルを楽しくひねったこのカクテルは、コッパー・フィドルのバーで見られるユニークなドリンクのアプローチのひとつに過ぎない。
コッパー・フィドルのスピリッツが他では手に入らないというわけではない。実際、ファイブ・スター・バーやアンタイトルド・サパー・クラブなど、シカゴの多くのバーで黒と白のラベルを見つけることができる。しかし、レイク・チューリッヒまで足を運んで、蒸留所と同じ建物で、穀物から瓶詰めされたスピリッツを味わう価値はある。